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Good Days

笑顔でいれば、楽しいことがやってくる

Good Days

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「はじめまして、愛しています」感想

2016年夏クールのドラマで一番まじめに見て、楽しみにしていたドラマは「はじめまして、愛しています」だった気がする。

特別養子縁組という難しいテーマと、江口さんが久しぶりに堅くなさそうな役をやると聞いて、楽しみにしていた今作。ネグレクト・虐待を受けた子どもを家族として受け入れていく過程は、「ピアノ」と「うざいお父さん(夫)」がなければ、ちょっと重たくて、楽しむのは難しかったかもしれない。

 

以下ネタバレ含むのでたたみます。ケータイからご覧の方はご注意ください。

 

 

 

 

 

 

このドラマは、前半、中盤、終盤とテーマがはっきりしていたと思う。前半はネグレクトで心に傷を負い、何もしゃべらない子との出会い、そして家族として受け入れていく過程での苦悩、葛藤。

試し行動は、何も養子縁組の親子だけじゃなくて、一般的な親子や教師生徒とか、子どもとの環境では割と普通に起こりうることだと思う。でも、心に傷を負って、信じることに怯えているだけでなくて、大人を信じる概念さえ持っていないかもしれない子の、全てを受け入れて、なにもしないで見守る。家の中がめちゃくちゃになって、心身ともに疲れきって、崩れていく人たちもたくさんいるんだと思う。

そこを救ったのが、ピアノと江口さん演じる父親の存在だったのではないかと思う。

 

この父親・信次は実に「うざい」笑

何かと語呂合わせを好んで、愛だの運命だのいうし、「一つ屋根の下」のあんちゃんを彷彿とさせるキャラクター。ああ、江口さんも年取ったなぁと思いつつ、最初はその感じに慣れなかったけど、母親である美奈が疲れきった時や落ち込んだ時に救ってくれるのは、いつも信次だったよね。最終回では、美奈が語呂合わせに気づいたり、ハジメに「似てきたね」なんて言われて。

 

ドラマ中盤は、信次と美奈を親と認めたハジメとの幸せな日々、そして家族それぞれの問題をハジメを通じて解決していく過程。ハジメがみんなをつなげて、幸せに導いてくれる、そんな平和な日々も、実母を名乗る人が現れて、平穏ではなくなってしまう。

もう二度と離れないと誓ったのに、ハジメは施設に帰らなくちゃいけなくなる件なんて、ボロボロ泣きました。このドラマ全体を通じて、自然と泣いちゃうことが多かったなぁ。

 

ドラマは終盤は、ハジメがどこで暮らすのが一番良いのかを、実母との保護権争いをしながら考えて、結論を出す過程。

ハジメを取り戻すために諦めない信次と美奈。不気味な微笑みの実母の母。何も言わない実母。この実母、志田未来ちゃんが演じていることに気づいたのは、最終回の自殺未遂後に運ばれた病院のシーンでした(おそい!)。

 

実母がハジメを虐待した理由は、最終回で明らかになったけど、それまであまりそこには関心がなくて。理由があって虐待する親もいれば、理由なんかなくて虐待する親もいる。ドラマとしてはその理由を明らかにしたいと、最初から決まっていたことなんでしょうが、本当にそこには重点を置かずに見てたから、最後に理由が出てきてハッとしました。

ハジメは実母とその父の間にできた子ども。実母もまた、性的虐待を受けていたということだったんだね。産むつもりなんてなくても、おろすこともできず、相談する人もいなくて、産まれた子ども。大きくなるにつれて、父に似てくる我が子。ただ父親がいない子なんじゃなくて、誰にも言えない父親を持つ子。実母もまた、つらい思いをしてきたんだね。理由がはっきりして良かったのかもしれない。

その理由が明らかになって、「きっとハジメは梅田家に帰れるんだな」って思った。そしてきっと、両家は良い関係でハジメの成長を見守っていくんだろうな、ということも。

 

テーマが重い、難しいものだったけど、重苦しいだけでなく骨太なドラマになったのは、脚本に無茶があまりなかったことと、出演者の素晴らしかったことが理由だと思う。

尾野さんの段々と母になり強くたくましくなっていく妻、江口さんのちょっと空回りな夫、余さんの自分の気持ちを押し殺して、一見冷たく見える児童相談所のベテラン職員、ちゃらんぽらんな弟、テンション高い妹、家庭を顧みなかった音楽家の父、夫を亡くして心身のバランスを崩した結果お酒に逃げてしまった母・・・

それぞれのキャラクターを大切に、ブレることなく演じたからこそ、そこに家族が存在しているかのように見えたし、そこまで特異な家族にも見えなかったんだと思う。

 

特別養子縁組は年間300件くらいの申請があるようです。身近にはあまり聞かない話かもしれないけど、世の中で実際にそんな家族が存在している。自分の家族が普通だと思っていても、結局家族に「普通」なんてないんじゃないかな。

人がひとりひとり違うように、家族もまた同じ家族はない。

ずっとずっと「あいしています」と言える関係の家族でいたいものですね。